広告と、役者と、衝動買い。

木村剛氏の「広告の奴隷」から「広告の主人」へ対して、数日間考えた末、
自分も出演者としての観点から感想をいろいろ書いてみたんですが、
なんか周りの専門家の方々と比べるとなんだかバカっぽくなってしまったので消去・・・。

まぁでも少しだけ、各所で皆さん意見がイロイロ出ているので
私もごく普通の感想をちょっとだけ書いておきます。

役者は、その演技ひとつで商品の高付加価値化につながります。
(もちろんそれは役者だけでなく、当然ながらCMに関わるスタッフ全員が同じです)
そしてできあがった作品(広告・CM)が、消費者の脳内で 「なんとなくイイ」 にヒットしたとき、
それまであまり興味がなかったものが、ものすごく欲しくなったりするものです。

そしてそれを手に入れたとき、なんとなく、幸せな気分になれたりします。


・・・いいじゃないですか。

私はそんなステキな無駄使いを応援します。


やっぱり、その「なんとなくイイ」が作り出せるのは、
29manさんや偶然さんが言うのと同じ、「システムではなく人間」ですよ。
特にここで「なんとなくとても良い!」気分にさせてくれるのが、良い役者さんの仕事なのです。


私は、広告のシャワーは不快には思いません。
むしろ時によってはそのシャワーを心地よいとさえ思います。
だって、衝動買いのないお買い物なんてつまらない。
私にとって、そんなつまらない消費生活に新しい情報をくれるのがCMです。
なんとなくその画がキレイだったり、好きな芸能人が出ていたり、ネタがおもしろかったり、
人それぞれの理由があってよいのではないでしょうか。

各所で「CMに騙されて何でも買う人」の話が出ていますが、本人がそれで「満足」を買っているのなら、それで良いのではないでしょうか?欲しいものが手に入って幸せなのです。
せっかく買い物をしたて喜んでいる時に、後から余計な事を言って、後悔させたりシラケさせたりする無神経な人とか結構いるので、そういうのって何か嫌です。
まぁ、確かにその流されやすさで悪徳商法などにひっかかってしまったりしたら、元も子もないのですが・・・。


CM製作現場において、私のような新人のタレントは、まだシャワーの水滴の一粒を構成する一つの分子くらいの力しかありません。
ただ、これからの目標として、CM離れが起こる今だからこそ、
「わざわざビデオに映りこんでないか全部をチェックしてしまう程見たくなる!」
そんな役者にならなければ!と改めて実感しました。なれるかどうかわかりませんが・・・。


要するにアレですね、みんなが見ないCMはつまらない、って事で最終確認OKですか?


トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.hinalog.com/mt2011a/mt-tb.cgi/106

コメント(2)



オレに広告打つなら、こんなのが有効ですよ

Excerpt: 木村剛氏の週刊!木村剛: 「広告の奴隷」から「広告の主人」へ [コラム]について、賛成でも反対でもない、バカボンのパパ並みの思考だだもれメモです。 広告を見て購入したと言える商品は 自問してみた。大物から順に。(大物) 車。トヨタハリアー。事実上、ライオンのコ...

Weblog: Ideal Break

Tracked: 2004年04月18日 10:44


ヒナログさんてけっこう哲学者ですね。

最近の消費者はより素晴らしい自分にしてくれるモノやサービスにお金を払い、生きるために必要なものほど安く買い叩くようになったという点で、ずいぶん強力になったと思います。

卵、牛乳、米など必需品は広告より安さだけで評価して、役にたちそうにないけど自分の存在価値を高めたり変身させてくれるものにはとても敏感ですね。そうバカじゃない。『コスプレ』ってそういう意味もあるのかな。

今日の文章読んでけっこうドキッとしたので、長く書いてしまいました。ごめんなさい。


Posted by: guonb at 2004年04月11日 04:09


>

要するにアレですね、みんなが見ないCMはつまらない、って事で最終確認OKですか?

OKOK。
そしてCMが面白いからと言って物が売れるわけでもないのです。数年前、そこら中の広告賞を総なめにしたCMは「ドリームキャスト」でした。

CMも楽しめるし買うも買わぬも自己責任自己判断。
ゆえに僕らは(むかしから)奴隷ではない。

消費者の主体的選択を狭めていたのはむしろ流通構造で、これが劇的に変化した(楽天もあればヤフオクもある)今、CMがどうなろうが奴隷なんぞはおりません。

てなこって。

Posted by: さいもん at 2004年04月11日 20:24


>guonbさん

そうですね、最近、高額デジタル商品の売れ行きが伸びて景気が少し回復してきたとか聞きますが
「30代の無駄使い」が大きく影響しているらしいですよね。
以前のデフレブームの時みたいにみんながケチケチしてしまったら景気が悪くなっただけだったし、
なんだ、やっぱり日本の経済は無駄使いに支えられてるんじゃないか~なんてバカな私は単純にそう思ったわけで・・・

正直、GIFやFlashでできたバナーなんかに衝動なんておこらないですよね??

なんかこう、五感を通じて無意識にヅケヅケ入ってくるCMだからこそ、物欲を刺激してくるのです。
インターネットの広告は、静的だからなんとなく面白くないのかも。

>さいもんさん

そうですね、「確かに面白い広告」と「売れる広告」は違いますものね。
商品の事は最後までほとんど触れないイメージCMひとつとっても、構成は同じようで、残るものは全然違いますものね。

正直、CMで見たものと同じものを手にすると幸せに感じる人って多いと思います。
販売員をやっていた頃、それまで何の興味を示さなかった機種でも、○○さんのこんなCMやってますよね、って言うだけでいきなり好意的になって、
その結果買ってくれる事なんてしょっちゅうでした。

それを考えると、消費者にとってCMって意外と好意的な対象のようですね。

企業に踊らされてるっていうよりむしろ踊るのを楽しんでいるようです。

Posted by: ひな at 2004年04月13日 02:00


リストにいれてもらっってありがとうございます。

ヒナさんがおっしゃることは経済評論家のリチャードクーちゃん(このひとも実はカメラマニアにして模型マニア)も似たことを主張しておられますが、資本主義はみんなが倹約してると行き詰まるシステムです。

みんなが無駄遣いをしないときにはまとめて戦争で使わなくてはなりません。戦争よりは楽しい無駄遣いのほうがguonbは好きです。

資本主義の次のパラダイムが見つかれば別ですけど。


Posted by: guonb at 2004年04月13日 02:47

コメントする

ウェブページ

Powered by Movable Type 5.11
あわせて読みたい

このブログ記事について

このページは、Hina Nakashimaが2004年4月10日 03:20に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「自転車で放浪」です。

次のブログ記事は「歳をとらない荒木飛呂彦」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。